MRIとCTはどう違う？検査の特徴や使い分けをわかりやすく解説

「MRIとCTって何が違うのですか？」

当院で検査を受けられる患者様から、よくいただくご質問の一つです。

どちらも「トンネルのような機械に入って撮影する検査」であり、画像もモノクロで似たように見えるため、違いが分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は、「MRIについて知ろう」シリーズの第2回として、MRIとCTの違いについてわかりやすくご説明いたします。

 

外観の違い

まずは装置の外観から見てみましょう。（写真左側がCT装置で右側がMRI装置です）

• CT装置：「ドーナツ型」と呼ばれる比較的薄くて開放的な形状。中央に穴が空いており、その中をベッドが通過します。
• MRI装置：「トンネル型」で、長い筒のような構造が特徴。当院では高精度の撮影が可能なトンネル型MRIを採用しています。装置が上下に配置されているオープン型というものもあります。 

 

原理の違い

• CT（コンピュータ断層撮影）：放射線（X線）を照射し、透過した量をもとに断面画像を作成します。
  ドーナツ状のCT装置の中には放射線を発生させる機械と照射した放射線を検出する機械が入っており、撮影中は機械が高速で回転しています。
  患者さまは寝台に横になってこのドーナツの穴の中をゆっくり進んでいきます。そうすることで人体が放射線によって輪切りにされていくので体の断面の画像が取得できます。 高速回転する装置で短時間に広範囲を撮影できます。
  
  
• MRI（磁気共鳴画像法）：強力な磁石と電波を利用して、体内の水素原子の反応から画像を作ります。放射線は使用せず、被ばくの心配がありません。

 

被ばくの有無

CT検査ではX線を使用するため被ばくがありますが、MRI検査では被ばくは一切ありません。

検査時間の違い

• CT検査（頭部）：約5分程度。一回の撮影で完結します。
• MRI検査：10～15分程度。撮影目的に応じて複数回撮影を行うため、時間がかかります。

MRI検査では撮影ごとにパラメータや使用している電波を変える必要があります。

これらをうまく組み合わせることで血管の描出が得意な画像、出血の描出が得意な画像など目的に応じた様々な画像を得ることができます。

つまり、MRI検査は一回の検査で複数の撮影を行い、それぞれで撮影条件を設定する必要があるため、検査時間が長くなります。一方CTは基本的に一回のみの撮影で終わりますが、得られる情報量はMRIに比べると少なくなります。ただ、CTでも頭蓋骨の骨折や脳出血の評価は可能なので、緊急性の高い頭部外傷などは検査時間の短いCTが有用です。

得られる情報量は多いが検査時間が長いのがMRI、検査時間は短いが得られる情報量はMRIに比べると少ないのがCT、というそれぞれ一長一短の特徴があるのです。

 

音の違い

MRI検査では「ガンガン」「ドンドン」といった大きな音が鳴るため、ヘッドフォンや耳栓で耳を保護します。一方、CT検査は音が比較的静かで、特別な耳の保護は不要です。

 

得意とする病変の違い

MRIとCTでは、それぞれ得意とする病気や部位が異なります。

MRIは水分を利用して撮影するため、水分を多く含む組織の描出が得意です。

具体的には脳の血管や腫瘍、脊椎の椎間板ヘルニア、膝の半月板や靭帯損傷等はMRI検査が有用です。

逆に、空気の多い肺野（肺の内部のこと）の描出はあまり得意ではありません。

肺癌、肺炎、肺気腫などの肺野病変はCT検査が有用です。

また、CTはMRIで写らない微細な骨折を描出することができます。

得意な分野	CT	MRI
脳・神経	〇 脳出血の評価に有用	◎ 血管・出血・腫瘍など
骨の評価	◎ 骨折や骨構造の評価に優れる	△ 微細な骨折はやや苦手
	◎ 肺炎・肺癌・気腫などに適する	✖ 空気の多い肺野は苦手
筋肉・靭帯	✖ 明瞭には描出しにくい	◎ 椎間板・靭帯損傷など

 

まとめ

比較項目	CT	MRI
装置の形状	ドーナツ型	トンネル型
使用原理	放射線	磁石＋電波
被ばく	あり	なし
検査時間（頭部）	約5分	約10～15分
音の大きさ	小さい	大きい（ヘッドフォン使用）
得意な部位	骨・肺	脳・脊髄・靭帯・筋肉・半月板など

いかがでしたでしょうか。。

MRIとCTには、構造や原理だけでなく、得意とする分野や検査体験にも違いがあります。

それぞれの特性を理解し、症状に合わせて適切に使い分けることが、正確な診断と適切な治療につながります。

 

当院では、患者さま一人ひとりの状態やご希望に応じて、最適な検査を選択し、安心して検査を受けていただけるよう丁寧にご案内いたします。

わからないことや不安な点があれば、どうぞお気軽にスタッフまでご相談ください。

📝 第一回：MRIの原理についてはこちらからご覧いただけます。
https://nerima-neuro.com/?p=102864