知っておきたい!医療費と「レセプト」の仕組み
2025年4月16日、ねりま脳神経外科では、5回目となる院内研修会を開催いたしました。
今回のテーマは「レセプト」です。ねりま脳神経外科では、日々多くの患者様が診察を受けています。
診療を受けた後、窓口でお支払いいただく医療費には、実は「レセプト」と呼ばれる重要な仕組みが関わっています。
今回は、普段あまり知られることのない「レセプト」について、わかりやすくご紹介いたします。
レセプトとは?
レセプトとは、正式には「診療報酬明細書」と呼ばれるもので、医療機関が健康保険組合や自治体などの保険者に対して行う医療費の請求書のようなものです。
患者様に行った診察、検査、投薬、処置などを点数化し、それをもとに医療費を算出します。1点=10円で換算されるため、1000点であれば10,000円となります。
誰が医療費を支払っているの?
患者様が窓口で支払うのは、原則としてこの医療費の1割から3割です。
残りは、保険者(健康保険組合や自治体など)が医療機関に支払います。
この残額を請求するために、私たちは毎月、全患者様分のレセプトを作成して提出しています。
病名がなければ費用は支払われない
医療行為には必ず「病名」や「医学的根拠」が必要です。
例えば、「頭痛」と記載されていれば鎮痛薬が処方できますが、病名がなければその処方は無効とされ、保険から費用が支払われません。
実際には診療を行っていても、レセプト上に病名や診療理由がなければ、診療行為は存在しなかったとみなされてしまうのです。
そのため、診療記録(カルテ)には医師やスタッフが正確に診療の背景や目的を記録する必要があります。
病名は保険適用の可否に直結するため、診療内容と整合性のある記載が求められます。
管理料と療養計画書について
検査や処置とは別に、「管理料」と呼ばれる費用があるのをご存じでしょうか。
これは、医師が患者様の病気を定期的にフォローし、状態を把握しながら診療計画を立て、生活習慣の改善などを支援していくことに対して算定される報酬です。
当院では、脳梗塞後のフォローには「特定疾患療養管理料」、高血圧・糖尿病・脂質異常症には「生活習慣病管理料Ⅱ」などを算定しています。
これらの管理料は、患者様の病状を安定させ、再発や合併症を予防するための大切な医療として評価されています。
管理料は「目に見えない医療行為」に対する評価ともいえるものです。
生活習慣病管理料Ⅱを算定する際には、「療養計画書」という書類を患者様にお渡しします。
これは、病気のコントロール目標や日常生活上の注意点、定期的な通院の必要性などを医師と患者様で共有するための大切なツールです。
初回には、医師が丁寧に説明を行い、患者様にご署名をいただきます。その後、概ね4か月ごとに計画書は見直され、継続的に治療方針を確認していきます。
継続用の計画書では署名の省略が認められており、効率的な運用が可能です。
レセプトの審査とその意味
作成されたレセプトは、保険者や審査支払機関に提出され、内容が適正かどうか厳しくチェックされます。
「縦覧」では、過去の診療と照らし合わせて継続性を確認し、「横覧」では他院との重複がないかを確認。
「突合」では薬局で調剤された薬と医療機関での処方が一致しているかをチェックします。
これらの審査で問題があると、「返礼」(再提出)や「査定」(減額)となり、医療機関の収入に影響が出ることもあります。
逆に、正確で適切な診療記録とレセプトは、医療の質を証明する手段でもあります。レセプトの質が医療の信頼性にも関わっているのです。
レセプトはチームで作る
レセプトの作成は医療事務だけではなく、医事課、看護師、技師、医師といったすべての職種が関わる「チーム医療」の成果です。
受付で聞き取った内容、技師による検査の所見、看護師の処置記録、医師の診断と指導。これらがひとつになって、正しいレセプトが完成します。
情報共有と連携がしっかりしていることが、適正な診療と診療報酬の確保に直結し、結果として患者様への質の高い医療の提供につながります。
当院では、各職種が役割を理解し、スムーズな記録と報告を行う体制を整えています。
レセプトは信頼の証
普段なかなか目にすることのない「レセプト」ですが、これは医療の質と透明性を支える重要なしくみです。
診療内容を正しく記録し、適正に評価されることで、患者様にとっても医療機関にとってもメリットのある制度となっています。
ねりま脳神経外科では、全スタッフがこのレセプト作業に真剣に取り組み、皆様に安心して通っていただける環境づくりを行っています。
医療の裏側にあるこの仕組みを知っていただくことで、私たちの取り組みを少しでも身近に感じていただけたら幸いです。
最後に
レセプトという仕組みは、単にお金を請求するためのものではありません。医療機関が、どのような意図で、どんな診療を行ったのかを客観的に示す手段でもあります。
つまり、患者様一人ひとりに提供した医療の記録が、社会全体にとって「安全で無駄のない医療が行われている」という証拠にもなるのです。
私たち医療機関にとっても、レセプトを丁寧に作成し、しっかりと審査に通すことは、診療の正当性を裏付けることにつながります。だからこそ、すべての職員が連携し、記録の正確性を保つ努力を続けています。
このように、レセプトは患者様と医療機関の信頼関係を築く上でも重要な仕組みです。安心して医療を受けていただくために、これからも正しい情報を丁寧に積み重ねてまいります。
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