片頭痛
片頭痛の治療について
片頭痛の治療には大きく2種類あります。一つは頭痛が起こってしまった時にお薬を内服する“急性期治療”と頭痛を起こりづらくし、起こってしまった時の頭痛を軽くする“予防治療”です。
急性期治療
片頭痛が起こってしまった時にもっとも多く使われるのがアセトアミノフェン®︎、NSAIDs(エヌセイズ)に代表される痛み止めです。皆さまも一度は聞いたことがあるであろう“ロキソニン®︎”や“イブプロフェン®︎”などと言われるものです。
比較的安価で薬局などでも購入できることから良く使用されていますが、2点注意が必要です。
① 効かないのに飲み続けていないか
② 内服回数が月5回以上になっていないか
一般的な痛み止めの効果が乏しい場合はそれを補うために内服回数が増えてしまい、結果として頭痛の回数が増えていってしまうことがあります(薬物使用過多による頭痛、慢性頭痛)。
頭痛が慢性化すると治療がより困難となることがあるので注意が必要です。NSAIDsをはじめとする痛み止めの効果が乏しい場合には片頭痛用の治療薬の検討が必要です。
現在日本では6種類の片頭痛用治療薬があります。それぞれ効果の速さや持続時間などに少しずつ差がありますので皆さまに合ったものを探していくことが重要です。
さらに気持ちが悪く薬を飲めない時や頭痛がひどい時は点鼻薬や注射薬を使うこともあります。
予防治療
片頭痛の発作が3ヶ月以上の期間、月に3〜5回以上ある場合には予防治療を検討します。
予防治療には内服薬、漢方薬、注射薬が選択肢としてあります。
予防内服薬の多くはもともと高血圧やてんかんなど、片頭痛とは別の用途に対して開発され、結果的に片頭痛の予防効果が確認されたものが多いです。
種類によって異なりますが1日1回〜3回を毎日内服し、すぐに効果を感じられる場合もありますが多くは1〜2ヶ月間内服を継続することで効果を発揮していきます。
中には眠気やふらつきなどの副作用を感じる場合がありますので良く医師からの説明を聞いた上で開始するのが良いでしょう。
2021年より抗CGRP製剤と呼ばれる注射の予防薬が日本でも使えるようになりました。
これまでの内服による予防薬に効果がなかった方が使用でき、月1回皮下に注射をしていくことで片頭痛の発作を抑えていきます。
重大な副作用はなく片頭痛を抑える効果は高いためこれまでの治療で十分な効果が得られず辛い思いをされてきた患者さまにとっては非常に有効な治療となっています。現在日本では3種類の抗CGRP製剤が使え、当院でも3種類すべて院内注射、処方することが可能です。
お薬以外の治療・対策
片頭痛には日常生活の中で引き金になり得るものが12個存在します(下の表)ので、これらの引き金を避けて生活することも片頭痛を予防するために大切です。
寝不足・寝過ぎ | お風呂 | 脱水・空腹 | ストレス |
強い光・音 |
におい 疲れ |
月経周期 | アルコール摂取 |
ストレスからの解放 土日・休日 |
天候の変化 台風や低気圧前後・寒暖差 |
食べ物 チーズ・チョコレート |
人混み 旅行 |
多くの場合、これらの引き金がいくつか重なった時に片頭痛発作が起こりやすくなります。
月経周期や天候の変化など避けにくいものもありますが、寝不足や寝過ぎ、空腹や脱水、人混みや特定の食べ物など避けられるものもあります。
やはり規則正しい生活、睡眠リズム、こまめな水分摂取と食事への配慮が大事だと思います。
まずはご自身の片頭痛が何によって引き起こされやすいのかを観察し、それを避けていくのが良いでしょう。そのためにも当院では「頭痛ダイアリー」の活用をお勧めしています。
皆さまの辛い頭痛が少しでも軽くなり、日常生活が滞りなく遅れるようにお手伝いできれば幸いです。
文責:井上剛(日本頭痛学会 日本頭痛学会専門医)
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