MRI検査ってどんな検査?
【第4回院内研修会】
2025年2月19日に、第4回目となる院内研修会を開催しました!
今回のテーマは「MRI検査」です。
今回の研修の目的は、次の2つでした。
①MRIの知識をスタッフ全員で深めて、安全性や注意点につい再確認・共有すること。
②MRI画像で脳の病気がどのように写るのかを知ること。
このコラムでは、研修内容を一部ピックアップしながらMRI検査についてわかりやすく解説していきます。みなさんにMRI検査をもっと身近に感じてもらえたら嬉しいです!
MRIのしくみ
まずは、MRI検査の原理について簡単に解説します。
ヒトの体はご存知の通り60~70%が水分でできており、ほとんどの組織に水分(水素の原子核)が含まれています。
MRIの世界では、水素の原子核を「プロトン」と呼んでいます。
このプロトンが、MRI画像を撮る上で、とっても大事な役割をしています!
プロトンには「向き」というものがあって、普段はそれぞれ違う方向を向いています。しかし、人体がMRI装置内に置かれると、プロトンは一斉に同じ方向へ整列します。
この状態でMRI装置から電波を照射すると、電波を受けたプロトンは特定の方向を向きます。この現象を共鳴(Resonance)と呼び、MRIの「R」はこのResonanceに由来します。
電波が人体に照射されるのは一瞬で、電波が切られるとプロトンは元の状態に戻ろうとします。
この際にプロトンが発する微弱な信号をMRI装置が検出し、コンピューター処理することで画像化します。
プロトンが元に戻るまでの時間は、組織によって少しずつ違います。この違いを画像で表すことで、みなさんがよく目にするMRI画像ができあがっています。
検査中の「あの音」の正体は?
MRI検査中って、大きな音がしますよね。あの音の正体、気になりませんか?
この音の原因について解説していきたいと思います。
実は、あの音はMRI装置の中にある「コイル」が原因なんです。
MRIは、画像を作るためにコイルに電流を流したり、止めたりしています。
この電流のオン・オフがコイルを振動させて、大きな音が発生するんですよ。
当院ではMRI検査の際には必ずヘッドホンを着用していただき、少しでも快適に検査ができるように努めていますのでご安心ください。
MRI検査の注意点
MRIは強力な磁石と電波を使って撮影します。
したがって、特に注意しないといけないのは、次の2つです。
磁石による吸着・故障・破損と電波による発熱の2つについて特に気をつけなければなりません。
- 磁場による影響:磁性体(金属など)の吸着、破損、故障
- 電波による影響:金属などの発熱
上記に伴い、検査の際にはいくつか注意していただきたいことがあります。詳しくは、当院ホームページの「MRI検査について」をご覧ください。ここでは、よくいただく質問について解説いたします。
一つ目はカラーコンタクトです。カラーコンタクトには金属の成分が含まれている可能性があるため必ず外して検査します。保存容器のご用意がなかった場合は貸し出しもしていますのでご安心ください。
二つ目はマグネットネイルです。基本的には外すのが望ましいですが急には外せないことがほとんどだと思います。ネイルジェルに含まれている砂鉄はほんの少しですし、コーティングもされているので、吸着する可能性はかなり低いと考えられます。ただ、ネイルの模様が変わる恐れがあるので、その点をご了承いただければ検査は可能です。また、発熱の可能性も否定できませんので、検査中に違和感が生じた場合は、お渡しするブザーにてお知らせください。
MRIとCTの違いって?
患者さんから「MRIとCTって、どう違うの?」とよく聞かれます。
ここでは、5つのポイントで違いを説明します
①原理
- MRI:強力な磁石と電波で画像を撮ります。
- CT:放射線(X線)で画像を撮ります。
②検査時間
- MRI:CTより少し長めです。例えば頭の検査だと、約10分くらいかかります。
- CT:入退室を合わせても、5分程度で終わることが多いです。
③被ばく
- MRI:放射線を使わないので、被ばくの心配はありません。
- CT:放射線を使うので、被ばくがあります。
④音
- MRI:検査中はかなり大きな音がします。
- CT:比較的静かです。
⑤画像の特徴
- MRI:脳梗塞や脳腫瘍などを見つけるのが得意です。
また、CTでは造影剤というお薬を使わないと血管が見えにくいのですが、MRIは造影剤を使わなくても血管をきれいに写すことができます。
MRIでも出血の評価は可能です。 - CT:脳出血や硬膜下血腫、クモ膜下出血などの出血性病変や骨折などを見つけるのが得意です。
CT検査は短時間で広範囲の撮影が可能というメリットがあります。
逆にMRI検査は時間は長いですが、その分情報量も多くCTでは表現できない細かな部分まで描出することができます。
MRI検査とCT検査は、それぞれ得意なことが違います。当院では、先生が患者様の症状や体の状態をしっかり診て、一番良い検査を選びますので、安心してください!
MRI画像の種類
MRI検査中に聞こえる音って、何種類かありますよね?
これは、一回の検査の中で目的に合わせていろんな種類の画像を撮っているためです。以下に、代表的な画像の種類とその特徴を簡潔に紹介します。
・T1強調画像…脂肪が白く写る。脳の形がわかりやすい。
・T2強調画像…水分が白く写る。腫瘍、炎症が把握しやすい。
・FLAIR(フレアー)画像…T2強調画像の一種で水成分を黒く写した画像。
周囲に水成分の多い脳溝、脳室の近くの病変が把握しやすい。
・T2*(T2スター)画像…出血性病変の描出が得意。出血があると黒く写る。
・拡散強調画像…脳梗塞を見つけるのに、とても優れている。
・MRA…血管が白く描出され、動脈瘤や血管狭窄が把握しやすい。
「MRIとMRAって違う検査なの?」と聞かれることもありますが、MRAはMRI検査の中の一つの種類です。
血管の様子を詳しく見るための、特別な撮り方、と思ってください。
MRAの「A」は、Angiography(アンギオグラフィー影)の「A」なんです!
まとめ
研修会ではMRIの原理のほかに、MRI画像の所見を見ながら症例検討会も行いました。
普段MRI画像に触れることが少ないスタッフにとっては、良い勉強になったと思います。
MRI検査は今の画像診断において欠かせないものとなっており、非常に重要な役割を果たしています。
たくさんの情報が得られる一方で、強力な磁石と電波を使うため、注意しなければならないこともたくさんあります。
安全にMRI検査を行うためには、撮影を行う技師だけでなく、クリニックのスタッフ全員が、MRI検査のことをきちんと理解して、情報を共有することが大切です。
そして、患者さん一人ひとりが安心して検査を受けられる環境を整え、さらなる医療の質の向上に貢献していきたいと思います。
また、このコラムでお話ししたMRIの詳しい内容をまとめたものを、近いうちにホームページに掲載する予定です。乞うご期待ください。
放射線技師.Y
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