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臨床検査技師が教える血液検査の見方

[2026.03.14]

― 数字の意味を知ると、健康がもっと見えてくる ―

健康診断や病院での検査後に受け取る「血液検査の結果」。

多くの方が「数値が並んでいてよくわからない」と感じているのではないでしょうか。

実は、血液検査は体の状態を客観的に映し出す重要な情報源です。臨床検査技師の視点から、基本的な見方のポイントを解説します。

血液検査は「体の状態を映す鏡」

血液は全身を巡りながら、酸素や栄養、ホルモンなどを運び、老廃物を回収しています。

そのため血液の成分を調べることで、臓器の働きや体調の変化を知ることができます。

血液検査の結果表には多くの項目が並びますが、まず大きく次の5つの分野に分けて考えると理解しやすくなります。

  • 血球検査(血液の細胞)
  • 生化学検査(臓器の働き)
  • 電解質(体内バランス)
  • 脂質・糖代謝など生活習慣関連
  • ホルモン検査

それぞれの代表的な項目を見ていきましょう。

貧血や炎症をみる「血球検査」

血球検査では、血液中の細胞の数や状態を調べます。代表的な項目は以下の通りです。

赤血球(RBC)・ヘモグロビン(Hb)

酸素を体中に運ぶ役割を持っています。これらが低いと貧血などの血液疾患が疑われます。女性では月経の影響で低くなることもあります。

白血球(WBC)

体を細菌やウイルスから守る免疫細胞です。白血病などの血液疾患や感染症、炎症があると増加することがあります。

血小板(PLT)

出血した際に血を止める働きを担います。極端に少ないと出血しやすくなります。

血清鉄

血清鉄は、血液中に存在する鉄のことで、鉄欠乏や鉄過剰を調べるときに検査します。

フェリチン

鉄の貯蔵状態を反映し、貧血や悪性腫瘍の病態把握に有用です。

これらの値は、体調や感染症、ストレスなどでも変化するため、単独の数値だけで判断するのではなく、経過を見ることが重要です。

肝臓や腎臓の状態をみる「生化学検査」

血液中の酵素や物質を測定することで、臓器の働きを評価します。

AST・ALT

主に肝臓の細胞に含まれる酵素です。肝炎、脂肪肝、アルコールの影響などで高くなることがあります。

γ-GTP

肝・胆道系障害のスクリーニングに用いられる検査です。アルコール摂取の影響を受けやすい項目です。飲酒量が多い人では上昇することがあります。

ALP

肝障害、胆汁うっ滞や骨疾患、妊娠などで上昇を示す酵素を測定する検査です。

総ビリルビン

肝疾患の診断、黄疸の鑑別に有用です。

LDH

肝臓をはじめ、心臓、腎臓、赤血球などの多くの組織や臓器に分布する酵素です。貧血、炎症、腫瘍など汎用的なスクリーニング検査として用いられます。

クレアチニン

腎臓の機能を評価する代表的な指標です。値が高い場合、腎機能の低下が疑われます。

推算GFRcreat

糸球体濾過値(GFR)は、腎臓による血中老廃物の排泄機能を評価する指標です。

尿素窒素

腎不全、熱傷、消化管出血や高タンパク質食摂取で上昇します。

尿酸

高値の場合は、痛風や痛風腎、尿路結石症を発症します。

これらの数値は生活習慣とも密接に関係しており、継続的なチェックが大切です。

体のバランスを保つ「電解質」

電解質は、体内の水分バランスや神経・筋肉の働きに重要な役割を果たしています。代表的なものは以下の通りです。

ナトリウム(Na)

体内の水分量や血圧の調整に関わります。脱水や腎臓の病気、ホルモンの異常などで変化することがあります。

カリウム(K)

筋肉や心臓の働きに重要です。値が大きく異常になると、不整脈の原因になることがあります。

クロール(Cl)

体内の酸とアルカリのバランスを保つ役割があります。

電解質は脱水や下痢、腎臓の機能、薬の影響などによって変動することがあります。

生活習慣病のリスクをみる検査

健康診断で特に注目されるのが、生活習慣病に関係する項目です。

血糖・HbA1c

糖尿病の指標となる数値です。HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均状態を反映します。

LDLコレステロール(悪玉)

動脈硬化のリスクに関係します。高い状態が続くと心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。

HDLコレステロール(善玉)

余分なコレステロールを回収する役割があります。低すぎると動脈硬化のリスクが上がります。

中性脂肪(TG)

食事や運動習慣の影響を受けやすい項目です。

これらは食生活、運動、体重管理と密接に関係しています。

代謝を調節する「甲状腺ホルモン」

甲状腺は首の前にある小さな臓器で、体の代謝を調節するホルモンを分泌しています。血液検査では主に次の項目が測定されます。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)

脳の下垂体から分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を調整します。

FT3・FT4

実際に体の代謝を調節する甲状腺ホルモンです。

甲状腺ホルモンが多すぎると、動悸や体重減少、発汗などの症状が現れることがあります。逆に少ない場合は、疲れやすさやむくみ、体重増加などが見られることがあります。

数値を見るときの大切なポイント

① 基準値は「正常」ではなく「目安」

基準値は健康な人の統計的な範囲を示したものです。少し外れていても必ずしも病気とは限りません。

② 「変化」を見る

前年や過去の結果と比べてどう変化しているかが重要です。

③ 生活習慣の影響を考える

食事、運動、睡眠、飲酒などは数値に大きく影響します。

血液検査は健康管理のヒント

血液検査の結果は「異常を見つけるためだけのもの」ではありません。体の状態を知り、生活習慣を見直すきっかけでもあります。

例えば、コレステロールが高ければ食事を見直す、血糖値が高めなら運動を増やすなど、早めの対応が将来の病気予防につながります。

臨床検査技師は、こうした検査データの正確性を支え、医師の診断を陰で支える専門職です。血液検査の結果を受け取ったときは、ぜひ数字の意味にも目を向けてみてください。

自分の体の状態を知ることは、健康への第一歩です。血液検査を上手に活用し、日々の健康管理に役立てていきましょう。

第三弾では、血液検査の流れと注意事項について説明していきます。

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