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第4回 脳ドックで認知症はわかる?認知機能検査の位置づけ(ガイドライン2026)を解説

[2026.03.04]

これまで脳ドックというと、

「脳卒中の原因になりそうな病気を早く見つける検査」

というイメージが強かったと思います。

2026年の新しいガイドラインでは、その役割が一歩進みました。

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)を防ぐ

  • 認知機能低下に早めに気づき、進行リスクを下げる行動につなげる

この2つが、脳ドックの大きな柱としてはっきり打ち出されたのです。

いわば「今の脳の写真を撮る検査」から、「将来の脳の健康を守るための検査」へと、目的が変わってきたと言えます。

何が変わったの?3つのポイント

① 認知機能検査が必須項目として明確化

新しいガイドラインでは、もの忘れや注意力などをチェックする「認知機能検査」(MMSE / HDS-R / MoCAなど)を行うことが、重要な項目として強調されています。

たとえば、次のようなテストです。

  • 「今日の日付や場所を答えてもらう」

  • 「簡単な計算や言葉のテストをする」

  • 「さっき聞いた言葉を少し時間をおいて思い出してもらう」

これらは、認知症の診断をするためというよりも、「今の脳の働き具合をざっくり把握するためのチェック」です。

点数が少し低めでも、それだけで「認知症です」と決まるわけではありません。むしろ、生活習慣を見直したり、少し間隔をあけて再検査をしたりするきっかけになります。

「画像だけ」「血液検査だけ」ではなく、脳がどのくらい働いているかを一緒に見る──これが、今回の改訂でとても大切にされた考え方です。

② MRIで「無症状のサイン」をしっかり評価

脳ドックで使われる代表的な検査が、MRIです。

新しいガイドラインでは、MRIで次のような“無症状のサイン”を丁寧に評価することが重視されています。

  • 小さな脳梗塞のあと(ラクナ梗塞)

  • 脳の白い部分が傷んだ「白質病変」

  • ごく小さな出血のあと(脳微小出血)

これらは、多くの場合、今すぐ症状が出るわけではありません。

ただし、たくさん増えてくると「将来の脳卒中や認知症のリスク」が高くなることが分かってきています。

新しいガイドラインは、この“無症状のサイン”をきちんと記録し、受診者様に説明することを求めています。

そのうえで、

  • 血圧

  • コレステロール

  • 糖尿病

  • 喫煙

  • 睡眠・運動・食事

こういった生活習慣とセットで考え、どう整えていくかを一緒に考えることが大切になります。

③ データを「ためて活かす」方向へ

2026年のガイドラインには、「標準データベース」という考え方も盛り込まれています。これは主に施設側が記録の質を揃えるための仕組みで、運用は各施設のルールと同意の範囲で行われます

これは簡単に言うと、

  • どこの施設でも、

  • 同じ項目を、

  • 同じルールで記録していきましょう

という仕組みです。

たとえば、

  • 年齢・血圧・生活習慣

  • 認知機能検査の点数

  • MRIで見つかった小さな病変の状態

などを、全国で同じフォーマットで集めていくことで、

  • 「自分の結果は、同年代の中でどのくらいの位置にいるのか」

  • 「10年、20年と追いかけると、どんな人が病気になりやすいのか」

といったことが、よりはっきり見えてきます。

すぐに個人の結果が変わるわけではありませんが、「みんなのデータ」が将来の医療を良くしていく土台になる、というイメージを持っていただければ良いと思います。

「異常なし」でも受ける意味がある時代に

脳ドックを受けた方から、こんな声をよく聞きます。

「異常なしと言われたけれど、本当に受けた意味はあったの?」

「まだ若いから、受けなくてもいいですよね?」

新しいガイドラインの流れを見ると、答えは少し変わってきます。

  • 大きな病気がないかを確認する

  • 小さな変化やリスクのサインを見つける

  • それをもとに、これからの生活をどう整えるかを考える

この3つをセットにすることで、脳ドックの価値がぐっと高まるからです。

たとえば、

  • 認知機能検査はほぼ正常だけれど、白質病変が少し増え始めている

  • MRIはきれいだけれど、認知機能検査の点数が少し低めで、睡眠不足やストレスが強そう

こういった情報は、「今後5〜10年をどう過ごすか」を考えるうえで、とても役に立ちます。

これから脳ドックを受ける方へのヒント

新しいガイドラインの時代に、脳ドックをより上手に活かすためのポイントを、まとめると次のようになります。

  • 「一度きり」ではなく、数年ごとのフォローを意識する

  • 画像だけでなく、「認知機能検査の結果」にも注目する

  • 異常が見つかったら、すぐに悲観するのではなく「何を変えればいいか」を医師と相談する

  • 異常がほとんどなくても、「今の生活を続けて良いのか」を振り返る材料にする

脳ドックは、結果の紙をもらって終わりではありません。
むしろ大切なのは、「その結果をどう使うか」です。

おわりに ― “未来の自分の脳”への投資

脳ドックガイドライン2026は、検査の専門的なルールをまとめた本ですが、その根底にあるメッセージはとてもシンプルです。

「脳の病気を早く見つけるだけでなく、将来の脳の健康を一緒に守っていこう」

脳は、一生使い続ける大切な臓器です。
仕事、家族との会話、趣味、旅行──どれも「脳が元気であること」が前提になっています。

もし、少しでも心配事があるなら、脳ドックは「未来の自分への投資」として、選択肢のひとつになります。

新しいガイドラインの時代に入った今、脳ドックは単なる「チェック」から、「人生設計のヒントをくれる検査」へと変わりつつあります。

このタイミングで一度、自分の脳と向き合ってみるのも、良いかもしれません。

脳ドック認定指導士.T

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