第4回 脳ドックで認知症はわかる?認知機能検査の位置づけ(ガイドライン2026)を解説
これまで脳ドックというと、
「脳卒中の原因になりそうな病気を早く見つける検査」
というイメージが強かったと思います。
2026年の新しいガイドラインでは、その役割が一歩進みました。
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脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)を防ぐ
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認知機能低下に早めに気づき、進行リスクを下げる行動につなげる
この2つが、脳ドックの大きな柱としてはっきり打ち出されたのです。
いわば「今の脳の写真を撮る検査」から、「将来の脳の健康を守るための検査」へと、目的が変わってきたと言えます。
何が変わったの?3つのポイント
① 認知機能検査が必須項目として明確化
新しいガイドラインでは、もの忘れや注意力などをチェックする「認知機能検査」(MMSE / HDS-R / MoCAなど)を行うことが、重要な項目として強調されています。
たとえば、次のようなテストです。
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「今日の日付や場所を答えてもらう」
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「簡単な計算や言葉のテストをする」
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「さっき聞いた言葉を少し時間をおいて思い出してもらう」
これらは、認知症の診断をするためというよりも、「今の脳の働き具合をざっくり把握するためのチェック」です。
点数が少し低めでも、それだけで「認知症です」と決まるわけではありません。むしろ、生活習慣を見直したり、少し間隔をあけて再検査をしたりするきっかけになります。
「画像だけ」「血液検査だけ」ではなく、脳がどのくらい働いているかを一緒に見る──これが、今回の改訂でとても大切にされた考え方です。
② MRIで「無症状のサイン」をしっかり評価
脳ドックで使われる代表的な検査が、MRIです。
新しいガイドラインでは、MRIで次のような“無症状のサイン”を丁寧に評価することが重視されています。
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小さな脳梗塞のあと(ラクナ梗塞)
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脳の白い部分が傷んだ「白質病変」
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ごく小さな出血のあと(脳微小出血)
これらは、多くの場合、今すぐ症状が出るわけではありません。
ただし、たくさん増えてくると「将来の脳卒中や認知症のリスク」が高くなることが分かってきています。
新しいガイドラインは、この“無症状のサイン”をきちんと記録し、受診者様に説明することを求めています。
そのうえで、
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血圧
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コレステロール
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糖尿病
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喫煙
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睡眠・運動・食事
こういった生活習慣とセットで考え、どう整えていくかを一緒に考えることが大切になります。
③ データを「ためて活かす」方向へ
2026年のガイドラインには、「標準データベース」という考え方も盛り込まれています。これは主に施設側が記録の質を揃えるための仕組みで、運用は各施設のルールと同意の範囲で行われます
これは簡単に言うと、
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どこの施設でも、
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同じ項目を、
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同じルールで記録していきましょう
という仕組みです。
たとえば、
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年齢・血圧・生活習慣
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認知機能検査の点数
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MRIで見つかった小さな病変の状態
などを、全国で同じフォーマットで集めていくことで、
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「自分の結果は、同年代の中でどのくらいの位置にいるのか」
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「10年、20年と追いかけると、どんな人が病気になりやすいのか」
といったことが、よりはっきり見えてきます。
すぐに個人の結果が変わるわけではありませんが、「みんなのデータ」が将来の医療を良くしていく土台になる、というイメージを持っていただければ良いと思います。
「異常なし」でも受ける意味がある時代に
脳ドックを受けた方から、こんな声をよく聞きます。
「異常なしと言われたけれど、本当に受けた意味はあったの?」
「まだ若いから、受けなくてもいいですよね?」
新しいガイドラインの流れを見ると、答えは少し変わってきます。
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大きな病気がないかを確認する
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小さな変化やリスクのサインを見つける
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それをもとに、これからの生活をどう整えるかを考える
この3つをセットにすることで、脳ドックの価値がぐっと高まるからです。
たとえば、
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認知機能検査はほぼ正常だけれど、白質病変が少し増え始めている
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MRIはきれいだけれど、認知機能検査の点数が少し低めで、睡眠不足やストレスが強そう
こういった情報は、「今後5〜10年をどう過ごすか」を考えるうえで、とても役に立ちます。
これから脳ドックを受ける方へのヒント
新しいガイドラインの時代に、脳ドックをより上手に活かすためのポイントを、まとめると次のようになります。
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「一度きり」ではなく、数年ごとのフォローを意識する
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画像だけでなく、「認知機能検査の結果」にも注目する
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異常が見つかったら、すぐに悲観するのではなく「何を変えればいいか」を医師と相談する
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異常がほとんどなくても、「今の生活を続けて良いのか」を振り返る材料にする
脳ドックは、結果の紙をもらって終わりではありません。
むしろ大切なのは、「その結果をどう使うか」です。
おわりに ― “未来の自分の脳”への投資
脳ドックガイドライン2026は、検査の専門的なルールをまとめた本ですが、その根底にあるメッセージはとてもシンプルです。
「脳の病気を早く見つけるだけでなく、将来の脳の健康を一緒に守っていこう」
脳は、一生使い続ける大切な臓器です。
仕事、家族との会話、趣味、旅行──どれも「脳が元気であること」が前提になっています。
もし、少しでも心配事があるなら、脳ドックは「未来の自分への投資」として、選択肢のひとつになります。
新しいガイドラインの時代に入った今、脳ドックは単なる「チェック」から、「人生設計のヒントをくれる検査」へと変わりつつあります。
このタイミングで一度、自分の脳と向き合ってみるのも、良いかもしれません。
脳ドック認定指導士.T
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