【第5回】脊椎MRI検査の実態
当院では頭痛、もの忘れ、めまい、頭部打撲だけでなくだけではなく手足のしびれ、麻痺などの症状も診ることができます。
脳が原因で手足のしびれが起こることもありますが、ほかにも原因はあります。
例えば脊椎です。脊椎や椎間板、靭帯などの構造物は日常生活での姿勢や加齢変化により様々な影響を受けます。こうした変化が手足のしびれや痛みなどの症状を引き起こすことも少なくありません。
当院では脳のMRIだけでなく脊椎のMRI検査も行い、症状の原因の究明に努めています。今回はそんな脊椎のMRI検査の実態を紹介していきたいと思います。
脊椎の基礎解剖について
脊椎は首から腰にかけて積み木のように連なった骨の集合体であり、上から「頚椎」、「胸椎」、「腰椎」、「仙椎」、「尾椎」に分けられます。
仙椎と尾椎はそれぞれ成長するにつれ癒合し、一つの大きな骨(仙骨、尾骨)となり骨盤を形成する骨の一つとなります。
したがって今回は頚椎、胸椎、腰椎にフォーカスを当てて解説していきたいと思います。
脊椎には脊柱管と呼ばれるトンネルがあり、その中を脊髄が通っています。脊髄は脳からの指令を全身に伝える重要な神経の束であり、それぞれの部位から神経が枝分かれして腕や足、臓器にまで分布します。
頚椎
首の部分にある7個の骨から成ります。頭を支え、上下左右に自由に動かす役割を担っています。頚椎の中央を脊髄が通り、そこから出る神経は肩や腕、手の感覚や運動に関わります。
胸椎
背中にある12個の骨から成り、胸郭を形成しています。胸椎から出る神経は体幹や肋間の知覚に関係しています。
腰椎
腰の部分にある5個の骨から成り、体重を支える重要な役割を担っています。腰椎から出る神経は下肢に分布し、腰椎の障害は腰痛や下肢のしびれ、歩行障害につながります。
生理的弯曲について
脊椎は背中にまっすぐ伸びていると思いがちですが、実は横から見ると緩やかなカーブを描いています。これを生理的弯曲といいます。
椎体がまっすぐだと衝撃をそのまま受けてしまいますが、カーブがあることでバネのように力を分散できます 。
図のように、頚椎と腰椎は前弯、胸椎と仙椎は後弯しています。
実際の画像
では実際に画像を見てみましょう。今回は腰椎の画像を例に見ていきたいと思います。
四角い部分が椎体であり、その間には椎間板があります、椎間板はクッションの役割があり、衝撃を吸収して負担を和らげています。
椎体の後ろには脊柱管があります。脊柱管の中には脊髄(黒い部分)があり、周りは脊髄液(白い部分)で満たされています。
脊椎MRIでわかること
椎間板ヘルニア
椎間板の内部にある髄核が外に飛び出し、脊髄や神経根を圧迫する状態です。頚椎であれば腕や手のしびれ、筋力低下が出現します。腰椎であれば坐骨神経痛や下肢のしびれが出現します。
脊柱管狭窄症
加齢により椎間板の膨隆、靭帯の肥厚、骨の変形などが重なり、神経の通り道が狭くなる病気です。歩行すると足がしびれますが、休むと楽になる症状が特徴的です。(間欠跛行)
脊髄腫瘍、炎症
脊髄の内部や周囲にできる腫瘍、または炎症による変化もMRIで確認できます。
外傷による変化
交通事故や転倒による骨折、靭帯損傷、脊髄損傷もMRIで評価可能です。CTでは見えにくい軟部組織や神経の損傷を確認できるのが大きな利点です。
検査時間・注意事項
頚椎、胸椎、腰椎それぞれ15分程度で終わります。
基本的には頭部MRIと注意事項は一緒です。(→MRI検査について)
検査部位近くの金属は必ず外して検査します(例:腰椎→ズボンのチャックやブラジャーなどの金属)。検査着も用意していますのでご安心ください。
まとめ
当院では、脳だけでなく脊椎、脊髄までを総合的に診ることができます。
脳神経外科と聞くと敷居が高いようにも思いますが頭痛、頭部打撲だけでなく手足の痺れなどといった身近な症状も診療の対象です。
脊椎は体を支える柱であると同時に、神経の大事な通り道でもあります。
そのため少しの変化が症状につながることもあります。 MRI検査では、脊椎や椎間板、脊髄まで詳しく確認でき、症状の原因を調べる手がかりになります。
気になる症状があればどうぞ気軽にご相談ください。
放射線技師.Y
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