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採血

この記事でわかること

  • 脳神経外科で採血検査を行う理由
  • 採血検査で何がわかるのか(貧血・血糖値・脂質・肝腎機能など)
  • どんな症状・リスクがある人に検査がおすすめか
  • 空腹時採血が必要な理由と絶食時間
  • 検査前に飲んでよいもの・避けるべきもの
  • 服薬中の薬は飲んでもよいのか
  • 検査結果が出るまでの期間と費用
  • 検査後の注意点(運動・入浴について)

採血検査とは

血液の状態から、全身の健康と脳の病気を見つける検査です

脳神経外科で行う採血検査は、頭痛・めまい・しびれなどの症状の原因を探ったり、脳卒中のリスクを評価したりするために欠かせない検査です。

脳神経外科なのに、どうして採血をするの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、頭や神経の症状の原因は、必ずしも"脳そのもの"にあるとは限りません。

血液の状態や全身のバランスが影響していることも多く、正確な診断や安全な治療のために採血検査はとても重要な役割を果たしています。

採血検査で何がわかるのか?

採血検査では、症状が出る前の段階で体の異常を確認できます。

早めに気づくことができれば、生活習慣を見直したり、必要に応じて治療を始めたりすることで、将来のリスクを減らすことができます。

採血検査でわかること

検査項目 わかること こんな方に特におすすめ
血糖値・HbA1c 糖尿病の有無や血糖コントロール状態 ふらつき、意識障害がある方
脂質(コレステロール・中性脂肪) 動脈硬化のリスク 脳卒中予防を考えている方
貧血検査 赤血球・ヘモグロビンの数値 めまい、頭痛がある方
電解質(ナトリウムなど) 体内のミネラルバランス けいれん、意識障害がある方
肝機能・腎機能 薬の副作用チェック 服薬中の方
炎症反応 感染症や炎症の有無 発熱を伴う頭痛がある方
甲状腺機能 甲状腺ホルモンの状態 動悸、だるさ、体重変化がある方

 

なぜ脳神経外科で採血検査が必要なのか

1. 脳以外の病気が症状の原因になっていることがあります

頭痛、めまい、しびれ、意識障害などで受診された患者さまの中には、脳そのものではなく、血液の異常や全身の病気が症状の原因となっているケースがあります。

採血検査で判明する主な原因:

🔴 貧血
めまいや頭痛の原因となることがあります。特に女性や高齢者に多く見られます。赤血球数やヘモグロビン値を測定して診断します。

🔴 血糖値の異常(低血糖・高血糖)
ふらつき、冷や汗、意識がぼんやりするなどの症状が現れることがあります。糖尿病の有無や血糖コントロール状態を確認します。

🔴 電解質バランスの乱れ(ナトリウム、カリウムなど)
脱水や過度の発汗、嘔吐・下痢などにより体内のミネラルバランスが崩れると、意識障害やけいれんを起こすことがあります。

🔴 感染症や炎症反応
発熱を伴う頭痛の場合、髄膜炎などの感染症や全身性の炎症が疑われることがあります。白血球数やCRP(炎症反応)を確認します。

🔴 甲状腺機能の異常
甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、動悸、発汗、だるさ、体重変化、イライラ感などが現れます。頭痛を伴うこともあります。

このように、症状だけでは判断が難しいケースでも、血液検査によって全身の状態を総合的に確認することで、正確な診断と適切な治療につながります。

2. 脳卒中のリスク評価と予防のために

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった脳卒中は、命に関わる重大な病気です。その多くは、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病が長年積み重なって発症します。

症状がなくても、血液検査で異常が見つかれば、早期に対策を始めることで脳卒中を未然に防ぐことができます。

脳卒中予防のために確認する主な検査項目:

検査項目 何がわかるか
血糖値・HbA1c 糖尿病の有無や、過去1〜2か月間の血糖コントロール状態を評価します。高血糖が続くと血管が傷つき、脳梗塞のリスクが高まります。
脂質
(LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪)
悪玉コレステロール(LDL)が高いと動脈硬化が進行します。善玉コレステロール(HDL)が低い場合や、中性脂肪が高い場合も注意が必要です。
凝固系検査
(PT、APTT、D-ダイマーなど)
血液が固まりやすいか、出血しやすいかを調べます。抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用中の方では定期的なチェックが必要です。
腎機能
(クレアチニン、eGFRなど)
腎臓の働きを評価します。腎機能が低下していると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなることが知られています。

これらの数値を総合的に判断することで、現在の脳卒中リスクを評価し、生活習慣の改善指導や必要に応じた薬物療法など、適切な予防策を提案することができます。

💡 ポイント
脳ドック(MRI検査)と採血検査を組み合わせることで、「今の脳の状態」と「将来のリスク」の両方を把握できます。MRIで異常がなくても、血液検査で生活習慣病が見つかれば、早めの対策で脳卒中を予防できます。

お薬の安全性確認と副作用チェック

すでにお薬を服用されている方や、これから治療を始める方にとって、採血検査は安全な治療を続けるために欠かせません。

主なチェック項目:

  • 抗てんかん薬:血中濃度の測定や肝機能のチェック
  • 抗血小板薬・抗凝固薬:出血リスクや凝固機能の確認
  • 降圧薬・糖尿病薬:肝臓や腎臓への負担がないか
  • その他の内服薬:副作用の早期発見

お薬は肝臓で分解され、腎臓から排出されます。そのため、これらの臓器の状態を定期的に確認することが、安全な治療継続のために大切です。

 

症状の背景にある病気を見つけるために

頭痛やめまいなどの症状があっても、その原因が明確でない場合があります。

問診・診察を行った結果、医師が必要と判断した場合に採血検査を実施します。これにより、症状の背景に潜む糖尿病や脂質異常症、甲状腺機能異常、貧血などが見つかることがあります。

早期に原因を特定できれば、適切な治療を開始し、症状の改善や将来のリスク軽減につなげることができます。

こんな方に採血検査がおすすめ

以下に当てはまる方は、医師にご相談の上、採血検査をお勧めします。

  めまい、頭痛、しびれなどの症状がある方
症状の原因を特定するために血液検査が役立ちます
  高血圧、糖尿病、脂質異常症と診断されている方
定期的な数値チェックで病気の進行を防ぎます
  脳卒中の予防を考えている方
リスク因子を早期に発見し、対策を始めることができます
  服薬中で定期的なチェックが必要な方
薬の副作用や効果を確認します
  ご家族に脳梗塞や心筋梗塞の既往がある方
遺伝的リスクを考慮した健康管理が大切です
  脳ドック(MRI検査)を受ける方
MRIと採血検査を組み合わせることで、より総合的な評価が可能です

検査の流れ

  1. 医師による診察
    問診・診察を行い、必要な検査項目を決定します。
  2. 採血実施
    看護師・検査技師が腕の静脈から血液を採取します。数分で終わります。
  3. 検査機関へ送付
    採取した血液は外部の専門検査機関に送られます。
  4. 結果説明(約1週間後)
    検査結果が出たら、医師から丁寧にご説明いたします。

所要時間

採血自体は数分で終わります。ただし、診察や待ち時間を含めると、全体で30分〜1時間程度を目安にお考えください。

【よくあるご質問】

Q1.費用はどのくらいかかりますか?

目安: 3割負担の場合、約3,000円前後

※検査項目数や保険適用の状態によって変動します。詳しくは受付でお尋ねください。

Q2.検査結果はいつわかりますか?

当院では採血検査を外部の専門検査機関に依頼しているため、結果が出るまで約1週間かかります。

基本的には1週間後以降に再受診していただき、医師から結果説明を行います。

Q3.なぜ空腹での採血が必要なのですか?

食事をすると、食べ物が消化・吸収される過程で、血液中の糖分や脂肪分が増加します。そのため、食後に採血を行うと正確な数値が得られなくなることがあります。

特に影響を受けやすい検査項目:

  1. 血糖値 → 食後は急上昇します
  2. 中性脂肪(TG) → 食事内容によっては数倍に上昇することも
  3. 総コレステロール・LDL・HDL → 食後は軽度上昇する傾向があります
  4. 肝機能(AST・ALT・γ-GTPなど) → 脂っこい食事や飲酒の影響で変動することがあります

Q4.検査前の絶食時間はどのくらい必要ですか?

空腹時採血の場合:10時間以上の絶食が望ましいです。水分摂取は原則は水のみ。お茶・コーヒーについては検査内容や当院の指示に従ってください

例えば、朝9時に採血予定の場合は、前日の夜11時以降は食事を控えてください。

検査前に飲んでもよいもの:

  • お茶(無糖)
  • ブラックコーヒー(砂糖・ミルクなし)

検査前に避けるべきもの:

  • 食事全般
  • 清涼飲料水
  • 牛乳
  • ジュース
  • 砂糖入りコーヒー・紅茶
  • アルコール

Q5. 普段飲んでいる薬は採血前に飲んでもいいですか?

お薬の中には、検査結果に影響を与えるものもあります。一方で、高血圧や心臓病などのお薬を自己判断で中止すると、かえって危険な場合もあります。

重要: 検査前の服薬については、必ず事前に医師にご相談ください。

一部の検査では特定のお薬を一時的に中止した方がよい場合もありますが、自己判断は禁物です。受診時や電話でお気軽にお問い合わせください。

Q6. 採血後の運動や入浴は大丈夫ですか?

日常生活に特別な制限はありませんが、採血当日は以下の点にご注意ください:

  • 長時間の入浴は避ける
  • 激しい運動は控える
  • 飲酒は控えめに

まとめ

  • 採血検査は数分で終わります
  • めまい・頭痛・しびれなどの原因を調べることができます
  • 脳卒中リスク(糖尿病・脂質異常症など)を評価できます
  • お薬の影響や副作用をチェックできます
  • 空腹時採血の場合は10時間以上の絶食をお願いします
  •  水・お茶・ブラックコーヒーは飲んでも構いません
  • 普段のお薬については事前に医師にご相談ください
  • 検査結果は約1週間後に出ます
  •  MRIと一緒に受けることで、より正確な評価が可能です

採血検査で早めにリスクを知ることができれば、生活習慣の改善や治療で、将来の脳卒中や心筋梗塞を予防することができます。検査について、わからないことや不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

採血検査の主な検査項目一覧

当院で実施している採血検査の主な項目をご紹介します。検査項目は症状や目的に応じて医師が選択します。

炎症 項目名 略称 説明
貧血の検査 白血球数 WBC 白血球などの血液疾患や炎症性疾患の診断・経過観察に用いられる検査です。
赤血球数 RBC 貧血、多血症の診断に用いられる検査です。
ヘモグロビン Hb 血液中の血色素であるヘモグロビンを測定する検査です。貧血などの血液疾患の検査として用いられます。
ヘマトクリット Ht 血液中に占める赤血球の全容積をパーセント表示した値です。貧血のスクリーニングなどに用いられ、低値を示します。
血小板数 PLT 止血機構の中心を担う血小板の数を調べる検査です。少なすぎると血が止まりにくく、多すぎると血栓を起こしやすくなります。
MCV 平均赤血球容積  
MCH 平均赤血球ヘモグロビン量 貧血、多血症の診断に用いられる検査です。
栄養状態 総蛋白 TP 栄養状態と肝・腎機能の指標となる検査です。肝硬変やネフローゼ症候群による低蛋白血症で低下します。
アルブミン ALB 肝臓で合成されるタンパク質を測定する検査です。栄養状態の悪化や肝障害の程度を反映して低下します。
肝機能 AST (GOT)   肝臓・心臓・筋肉・腎臓などに含まれる酵素を測定する検査です。
ALT (GPT)   主に肝臓に含まれる酵素で、肝臓の組織が壊されると上昇します。ASTよりも肝臓に特異性が高く、肝障害の治療指標に用いられます。
γ-GT (γ-GTP)   肝・胆道系疾患のスクリーニングに用いられる検査です。胆汁うっ滞や、アルコール性肝障害で上昇します。
ALP アルカリフォスファターゼ 肝障害、胆汁うっ滞や骨疾患、妊娠などで上昇を示す酵素を測定する検査です。
総ビリルビン T-Bil ヘモグロビンやポルフィリン体の分解産物である総ビリルビンを測定する検査です。肝疾患の診断、貧血の鑑別に有用です。
腎機能 LD(H) 乳酸脱水素酵素 肝臓をはじめ、心臓・腎臓・赤血球などの多くの組織や臓器に分布する酵素です。貧血(溶血性貧血・悪性貧血)、炎症、腫瘍など汎用的なスクリーニング検査として用いられます。
クレアチニン CRE アミノ酸の老廃物で腎機能が低下すると上昇します。筋肉量が多いと高くなります。
推算GFRcreat 推算糸球体濾過量 糸球体濾過値(GFR)は、腎臓による血中老廃物の排泄機能を評価する指標です。
尿素窒素 BUN 血液中に含まれる尿素窒素を測定する検査です。腎機能の指標として広く利用され、腎不全、高値、脱水などで高値を示す。食事摂取で上昇します。
糖尿病 尿酸 UA 腎臓から排泄される核酸の最終代謝物であり、体内のプリン体代謝を反映しています。高値の場合は、痛風や腎障害、尿路結石症を発症します。
グルコース GLU 血液中のブドウ糖(血糖)を測定する検査です。食事の前後で変動します。
HbA1c ヘモグロビンA1c 過去1〜2か月間の平均血糖値を測定する検査です。
HDLコレステロール HDL-C 一般に善玉コレステロールと呼ばれ、低値では動脈硬化のリスクが高まることが知られています。
脂質硬化 LDLコレステロール LDL-C 一般に悪玉コレステロールと呼ばれ、高値では動脈硬化のリスクが高まることが知られています。
TG (中性脂肪)   動脈硬化の危険因子です。食事の影響を受けます。
電解質のバランス ナトリウム Na 細胞外液中の陽イオンの主体をなす電解質を測定する検査です。水分量や浸透圧・pHの調整を行う電解質です。
カリウム K 神経や筋肉の興奮を調整する電解質を測定する検査です。
クロール Cl 酸塩基平衡異常の診断に有用な検査です。Naとともに水分の調整を行う電解質です。
カルシウム Ca 骨や歯を作るだけでなく、神経伝達、筋収縮、血液凝固にも必須なミネラルです。
甲状腺ホルモン 無機リン P Caとともに骨の形成に必要な体内の重要な無機物です。
マグネシウム Mg 種々の酵素の補因子として作用し、生体代謝機能に重要な役割を担う金属です。
遊離サイロキシン (FT4)   甲状腺ホルモンの一種であるT4の遊離型です。
遊離トリヨードサイロニン (FT3)   甲状腺ホルモンの一種であるT3の遊離型です。
貧血の検査 TSH 甲状腺刺激ホルモン 下垂体前葉から分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を刺激するホルモンです。甲状腺の異常が疑われる場合に測定します。
血清鉄 Fe 鉄は、体内の必須金属の約70%が赤血球中に存在し、残りの大部分はフェリチンとして貯蔵されています。血清鉄は、血液中に存在する鉄のことで鉄欠乏や体鉄調節を調べるさいに検査します。
フェリチン 貯蔵鉄 鉄の貯蔵状態を反映し、貧血や鉄性能障害の病態把握に有用です。
総鉄結合能:比色法 TIBC 血液が赤血球ヘモグロビンの原料であるFeを運ぶ能力です。貧血の診断基準として測定します。

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