めまい
めまいについて
めまいは「空間識の異常」 によって発生します。
💡 空間識とは?
✅ 自分の体の位置や動きを正しく認識する能力
✅ 前庭感覚(耳のバランス機能)、視覚(目からの情報)、体性感覚(筋肉や関節の感覚)が統合されて作られる
これらの感覚情報にズレ(ミスマッチ)が生じると、脳が空間を正しく把握できなくなり、めまいとして異常な感覚を引き起こします。
めまいは多くの方が経験する不快な症状です。
- ぐるぐる回る
- ふわふわする
- 歩くとふらつく
その原因は多岐にわたり、診断が難しいことも少なくありません。
「脳神経外科?耳鼻科?」と迷ったら…
めまいの中には、脳の病気が関与している危険なものもあります。
そのため、まずは脳神経外科で脳に異常がないかを確認し、異常がなければ必要に応じて耳鼻科や内科を受診することをおすすめします。
詳しくは、日本めまい平衡医学会が策定した「急性期めまいの診療フローチャート」を参考にしてください。
めまいの症状と種類
患者さまの表現として、以下のような言葉がよく聞かれます。
🔹 「目が回って不快」「動いていないのに回っている感じ」
🔹 「ふわふわして雲の上を歩いている感じ」
🔹 「歩くときに地に足がついていない感じ」
🔹 「平衡感覚が狂った感じ」
🔹 「じっとしているのに景色が流れる」
🔹 「支えがないと立っているだけでふらつく」
🔹「安定せず転倒する」「歩行が安定しない」
これらは医学的に 4つのタイプ に分けられます。
「目が回って不快」「動いていないのに自分が回ったり、動いている感じ」など疑似運動感覚を伴う空間識異常によるもの
「ふわふわして雲の上を歩く感じ」「歩くときに地に足がついていない感じ」「平衡感覚が狂った感じ」など平衡感覚の乱れによるもの
③前庭性視覚症状[Vestibulo-visual symptoms]
「じっとしているのに景色が流れる」など前庭動眼反射の異常(眼振)による視覚異常で空間識異常は伴わないもの
④前庭性姿勢症状[Postural symptoms]
「支えがないと立っているだけでふらつく」「安定せず転倒する」「歩行が安定しない」など前庭姿勢反射の障害による姿勢異常であり、空間識異常は伴わないもの
この症状は、脳の機能低下や変性疾患による平衡感覚障害として現れることもあります。めまいの原因となる病気によっては、脳神経外科、脳神経内科、耳鼻咽喉科、循環器内科、心療内科などで診断・治療が行われます。
めまいの原因となる病気
めまいのために救急外来を受診した患者さまの約40%が耳鼻科領域のめまいと考えられ、脳卒中は4%、不整脈3%と報告されています。
その他の原因として水・電解質の異常(ミネラルバランスや脱水など)、貧血、低血糖、狭心症・心筋梗塞、大動脈解離などがあります。
めまいを主訴に救急外来を受診した患者さまが、どのような病気と診断されたのかを以下の表に示します。
💡 危険なめまいを引き起こす病気
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 不整脈
- 大動脈解離・動脈瘤破裂
- 肺塞栓
- 一過性脳虚血発作・頸動脈狭窄
- 脳梗塞・脳出血
- くも膜下出血、脳動脈瘤、頭頚部血管解離
- 脳腫瘍
- ギラン・バレー症候群
- 細菌性髄膜炎
- 脱水・溢水・電解質異常
- 低血糖
- 貧血
- 副腎不全
- アルコール禁断症状
- 一酸化炭素中毒
特に、突然のめまい・手足のしびれ・意識障害を伴う場合は、重大な病気が隠れていることがあるため、すぐに医療機関を受診することが重要です。
💡 比較的安全なめまいの原因
- 迷走神経反射による失神
- 前庭神経炎・内耳炎
- 前庭性発作症
- 前庭性片頭痛
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
- 起立性低血圧
- うつ病
- パニック障害
- アルコール中毒
- メニエール病
- 多発性硬化症
- パーキンソン病
- 頚性めまい
比較的安全なめまいであっても、繰り返し発生する場合や日常生活に支障がある場合は、受診することをおすすめします。
めまいの診断と検査
問診
めまいの診断では、症状の詳しい経過を把握することが最も重要です。
以下のような点を詳しくお聞きします。
- いつから始まったか?
- どのようにめまいが起こるのか?
- どれくらい続くのか?
- どのような時に悪化・改善するのか?
- めまい以外の症状(吐き気、しびれ、麻痺など)はあるか?
医学的には回転性めまい、浮動性めまいなどに分類されますが、一般的にはどちらも『めまい』として表現されます。そのため、具体的にどのような症状を経験しているかを詳細にお聞きすることが重要です。
特に、突然始まり、症状が持続し、吐き気や言葉の出づらさ、手足のしびれや麻痺を伴う場合は、脳卒中などの脳の病気の可能性が高くなります。そのため、脳が原因ではないことを確認するためにも、MRIやCTなどの画像検査を行う必要があります。
身体診察
血圧や脈拍などのバイタルサインを測定し、神経学的検査を行います。
・眼振の有無
・重心動揺検査による前庭動眼反射や前庭脊髄反射の異常
神経学的検査では脳神経の異常がないかを診察し、異常が見られる場合ば脳の病気がさらに強く疑われます。
不整脈や頚動脈狭窄がないかを確認するために、胸部の聴診や触診、起立試験なども実施し、めまいの原因が脳や耳鼻科領域以外にある可能性を評価していきます。
画像検査
脳、三半規管や前庭神経はいずれも頭部にあるため、画像で映るような異常がないかを頭部MRIやCTにて検査していきます。
MRI検査
・脳梗塞/脳出血/脳腫瘍などの病変がないか確認
・MRA検査で脳の動脈の流れを評価し、椎骨脳底動脈循環不全を確認
CT検査
・側頭骨に埋まっている三半規管の異常を確認
血液検査
水・電解質の異常(ナトリウム・カリウムのバランス)、貧血、低血糖などが原因でめまいを引き起こすことがあります。
これらの異常が疑われる場合には血液検査を行います。
そしてこれらの状態を疑うためには、問診でこれまでの病歴や生活習慣、最近の体調変化を聞いたり、身体所見をしっかり確認することが必要となります。
耳鼻科での検査
耳鼻科では、内耳が原因のめまいかどうかを調べるため、以下のような検査を行います。
- 聴力検査
- 温度刺激検査(カロリック検査)
- 前庭誘発筋電位(VEMP)
これらの検査により、めまいの原因が内耳の異常によるものかどうかを診断することができます。
今後の情報について
今後、めまいを引き起こす代表的な疾患について詳しく解説し、治療法についても紹介していきます。
めまいの症状にお悩みの方は、早めの受診をおすすめします。
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