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なぜ脳神経外科で採血が必要なの?臨床検査技師が解説

[2026.03.07]

脳神経外科クリニックで働いていると、患者さまからよくこのような質問をいただきます。

「脳神経外科なのに、どうして採血をするのですか?」

確かに、"脳"のクリニックと聞くと、MRIやCTなどの画像検査を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし実は、採血検査は脳神経外科診療において非常に重要な役割を担っています。

今回は、臨床検査技師の立場から「脳神経外科でなぜ採血が必要なのか」「どんな方におすすめなのか」をわかりやすくお伝えします。

この記事でわかること

  • 「採血」と「血液検査」の違い
  • 脳神経外科で採血が必要な4つの理由
  • 採血でわかる「脳以外の原因」とは何か
  • 採血検査を特におすすめしたい方
  • よくある疑問への回答(FAQ)

採血検査とは?

まず、言葉の整理をしておきましょう。「採血」と「血液検査」は、厳密には異なります。

用語 意味
採血 血液を採取する行為
血液検査 採取した血液を分析・評価する行為

血液は体の隅々まで循環しているため、その成分を調べることで、臓器の働き・炎症の有無・栄養状態・ホルモンバランスなど、全身のさまざまな情報を得ることができます。

なぜ脳神経外科で採血が必要なのか?

実は、頭痛・めまい・しびれといった症状の原因は、必ずしも「脳そのもの」にあるとは限りません。

血液の異常や全身のバランスの乱れが、神経症状として現れていることも少なくないのです。

脳神経外科で採血検査を行う目的は、主に以下の4つです。

① 脳以外の病気が原因となることがある

頭痛やめまい、しびれで受診された患者さまの中には、脳自体には異常がないケースもあります。

採血検査を行うことで、次のような原因が明らかになることがあります。

  • 貧血
    めまい・頭痛・動悸・倦怠感の原因になります。特に女性や高齢者に多く、赤血球数やヘモグロビン値で評価します。
  • 血糖値の異常(低血糖・高血糖)
    ふらつき・冷や汗・意識がぼんやりするなどの症状が現れることがあります。糖尿病の有無や血糖コントロールの状態を確認します。
  • 電解質バランスの乱れ(ナトリウム・カリウムなど)
    脱水・嘔吐・下痢などによってミネラルバランスが崩れると、意識障害やけいれんが起こることがあります。
  • 感染症・炎症反応
    発熱を伴う激しい頭痛の場合、髄膜炎などの可能性も考慮する必要があります。白血球数やCRP(炎症の指標)を確認します。
  • 甲状腺機能の異常
    動悸・発汗・体重変化・倦怠感とともに頭痛が現れることがあります。症状だけでは気づきにくい疾患のひとつです。

このように、症状だけでは判断が難しいケースでも、血液検査によって全身の状態を総合的に把握することで、より正確な診断へとつながります。

② 脳卒中のリスク評価と予防

脳神経外科で特に重要なのが、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の予防です。

脳卒中は突然起こりますが、その背景には高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病が深く関わっています。

これらは自覚症状がほとんどないため、気づかずに進行していることも少なくありません。

採血検査で血糖値やコレステロール値などの異常を早期に発見し、生活習慣の改善や治療を始めることで、将来の脳卒中リスクを大きく減らすことができます。

③ お薬の安全性確認と副作用チェック

すでに治療中の方にとっても、採血検査は欠かせません。

脳神経外科では、次のようなお薬を使用することがあります。

  • 抗てんかん薬
  • 抗血小板薬・抗凝固薬
  • 降圧薬
  • 糖尿病薬

これらの薬は主に肝臓で分解され、腎臓から排出されます。そのため、肝機能・腎機能を定期的にチェックすることで、安全に治療を続けることができます。

また、抗てんかん薬では血中濃度測定を行い、薬の効果と副作用のバランスを確認することもあります。

④ 症状の背景にある病気を早期に発見する

頭痛やめまいの原因がはっきりしない場合でも、採血検査によって

  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 甲状腺機能異常
  • 貧血

などが見つかることがあります。

早期に原因を特定できれば、適切な治療を開始でき、症状の改善や将来のリスク軽減につながります。

こんな方に採血検査はおすすめです

  • めまい・頭痛・しびれなどの症状がある方
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症と診断されている方
  • 脳卒中の予防を考えている方
  • 服薬中で定期的なチェックが必要な方
  • ご家族に脳梗塞・心筋梗塞の既往がある方
  • 脳ドック(MRI検査)を受ける予定の方

MRIなどの画像検査と採血検査を組み合わせることで、脳と全身の両方から、より精度の高い総合的な評価が可能になります。

よくある質問

Q.採血検査は毎回必要ですか?

症状や治療の状況によって異なります。初診時や服薬中の方には定期的な検査をおすすめしています。「今回は必要か?」については、診察時に医師にご確認ください。

Q. 採血はいつ行いますか?空腹が必要ですか?

血糖値やコレステロールを正確に測定するため、食事の影響を受けやすい項目がある場合は空腹での採血をお願いすることがあります。事前にご案内しますので、ご来院前にご確認ください。

Q. 脳神経外科での採血は、健康診断の血液検査と何が違いますか?

健康診断の血液検査は全身の健康状態を広く確認するものです。一方、脳神経外科での採血は、頭痛・めまい・しびれなどの神経症状の原因を絞り込むこと、または脳卒中リスク・薬の安全管理を目的としています。項目の組み合わせが異なります。

Q. 採血で脳の病気がわかりますか?

採血単独で脳腫瘍や脳梗塞を直接診断することはできません。ただし、症状の原因を絞り込んだり、脳卒中につながるリスク因子(血糖・脂質・血圧など)を評価したりする上で非常に有用です。MRIなどの画像検査と組み合わせることで、より正確な診断が可能になります。

まとめ

採血検査は、「脳の病気だけを探すための検査」ではありません。

全身の状態を把握し、症状の本当の原因を見つけ、将来の病気を予防するための大切な検査です。

脳神経外科だからこそ、画像だけでなく血液という"体からのメッセージ"にも目を向けることが重要なのです。

次回(第二弾)では、具体的な検査項目(血算・生化学・凝固系など)の見方について、もう少し詳しく解説していきます。

採血ページはコチラ

【文責】臨床検査技師.S

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